最終更新日:2019年11月30日
画像差し替え済
鞍ヶ池公園は、愛知県豊田市にある公園で、地域の憩いの場になっていて、地形的には、鞍ヶ池という灌漑用の池と若草山と呼ばれる丘などから構成されています。
園内には、名古屋市赤池駅と豊田市駅を結ぶ名鉄豊田線を、開業前の3ヶ月間に試験車両として走った、名鉄800系が展示されています。
2019年現在、シートは張り替えられましたが、写真のとおり外観が塗りなおされていません。そこで敢えて、外観に関しては、前回車体が塗りなおされた、2010年8月現在の写真を使用することをご了承ください。
交通:名鉄バス 鞍ヶ池東バス停 徒歩3分
カーナビマップコード:30356418*18 (駐車場)
INDEX
名鉄電車モ805・ク2313
名鉄電車 「モ805、ク2313」 寄贈者 名古屋鉄道株式会社
展示の電車は、名古屋鉄道株式会社から、豊田市民へ寄贈された「実物の電車」です。 モ800型は昭和10年に、ク2300型は昭和13年に日本車輌製造(株)で制作され、名鉄本線用では最古参の電車です。当時、名古屋押切~新岐阜間を35分で結ぶ花形特急電車としてデビュー、昭和23年5月には、豊橋-新名古屋-新岐阜間のレールがつながり、直通運転が可能になってからは、同区間の直通電車として活躍していました。以来、実に48年間、地球200周にあたいする約800万kmを走行し、昭和58年1月、この場所に展示する直前まで、本線上を実際に走っていた古つわもの電車です。
展示のモ805、ク2313の2両が、この鞍ヶ池公園へ”おこしいれ”したのは、豊田市民が長年待ち望んでいた豊田市~名古屋間を短絡的に結ぶ、「豊田(新)線」が昭和54年7月29日開通、その開通前3ヶ月間にわたり、この2両編成で、レールや、信号、自動列車停止装置の作動など数々のテストを繰り返した「試験車両」であるところから…つまり、「豊田線を最初に、いの一番に走った記念電車」であることから、豊田市へのプレゼントが決まったものです。
今後とも、よい子たちの実物の教材として、公園の憩いの場として、末長く可愛がってください。
昭和58年3月 豊田市長 西山 孝
車両の要項 | モ805 (モ:モーター付車) | ク2313 (ク:運転台付付随車) | 車両製造所 |
---|---|---|---|
製造月日 | 昭和10年4月 | 昭和13年10月 | 日本車輌製造株式会社 |
定員 | 120人(内、座席68人) | 140人(内、座席70人) | |
最大寸法(長,幅,高) | 18340×2740×4203 | 18354×2740×3853 | |
自重 | 37.53t | 27.50t | |
最高速度 | 時速100km | - |
注:名鉄豊田線 名古屋市営地下鉄3号線(鶴舞線)に赤池にて接続し、豊田市~浄心間で相互乗り入れ。
豊田市民の希望であった「豊田線」を、「いの一番」に走った電車です。
周りを芝生に囲まれて、
まるで、ホームに停まっているかのように展示されています。
モ805
昭和10年(1935)生まれの、電動車です。
名岐鉄道(のちの名古屋鉄道)初の18m級大型車体で登場しました。最初はクロスシートを装備し、両運転台構造の単車でした。現在の電装品は東洋電機製造製。定格出力112.5kwのTDK528/15KM型主電動機と、電動カム軸制御機ES509型を装備しており、従来車に比べて格段の性能向上を成し遂げています。台車は釣り合い梁式のD16型を装備し、制動装置はM三動弁を使用したAMM自動空気ブレーキを装備。その後の名鉄車両の原型となりました。
ク2313
昭和13年(1938)10月製造。最初は運転台なしで製作されたのですが、のちに運転台化することを見越して、乗務員扉、前照灯ステーが装備された形で落成されています。台車は、日車製D15型。
こちらも最初はクロスシートだったのですが、太平洋戦争激化に伴って ロングシート化されています。
連結部分
最初、モ805は、ク2315と、ク2313は、モ803と連結されて運用されていました。しかし、昭和44年6月にク2315が福井鉄道に貸与されたのを皮切りに、同年10月にモ803が、サイリスタチョッパ制御の試験車として使用するために東芝府中工場に譲渡され、現在の、モ805とク2313という、異番の車両が編成されることとなりました。
運転席
高出力のモーター、電動カム軸制御機(ES509型)、ブレーキはM三動弁を使用したAMM自動空気ブレーキを装備しています。
非常の場合 | ||
---|---|---|
名称 | 位置 | 作用 |
非常停車弁 | 乗務員室 | 電車を停止させる |
非常扉コック | 乗務員室 座席下 出入口柱 車体外 | 扉を自動から手 動に切り替える |
危急知らせボタン | 出入口柱 | 運転士に危急を知らせる |
非常の場合以外絶対に手を触れないでください |
車内
登場当時はクロスシートでしたが、戦争の影響により、ロングシートに改造されました。
2019年現在、今までの真っ赤なシートから、布の張替えが行われたみたいです。
ドアースイッチ | ドアーの動作 |
---|---|
閉位置側のスイッチを押すと… | シリンダーの両側へ圧縮空気を入れますが、直径の大きいシリンダーの押す力のほうが強いので、ピストンは左へ動きドアーは閉じます。 |
開位置側のスイッチを押すと… | シリンダー直径の大きいほうの圧縮空気を抜きますと、直径の小さい側のシリンダーの押す力で、ピストンは右へ動きドアーは開きます。 |
緑の中の赤い車体
緑の芝生の中の赤い車体、とっても目立ちますね。
名鉄電車がスカーレット色になったのは、パノラマカー登場以降でしょうか。それまでは、緑色だったり紫だったり、ツートンカラーだったり、クリームに赤帯が入っていたり…。いろいろな色の遍歴を辿っていました。なお現在は、銀色のステンレス車両が出てきたりして、帯はスカーレットですが、いずれ、「真っ赤な車体」の名鉄電車も、数が減りつつあります。
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