2025年11月15日(土)、16日(日)と、名鉄ハイキングが豊川市で行われました。豊川線の八幡(やわた)駅よりスタートして、赤塚山公園、豊川海軍工廠平和公園、豊川稲荷をめぐる、10㎞のコースです。
なお、15日(土)には、日本車両製造のメモリアル車両広場も、コース内に含まれました。
ここでは、普段入ることのできない、「日本車両製造(株)の工場内」に展示してある車両の数々を紹介します。
| メモリアル車両広場 | |
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| 日本車両製造株式会社は1896(明治29)年の創立以来、社会基盤の充実に貢献するためさまざまな鉄道車両を世の中に送り出してきました。鉄道車両の設計・製造技術は時代と共に刻々変化・発展し、安全・高速・快適・省エネルギーで環境に優しい車両の供給は鉄道車両製造業に課せられた永遠の使命です。 1996(平成8)年に創立100周年を迎えた日本車両では、鉄道車両の設計・製造技術を後世に伝承し、常に最先端の技術を載せた鉄道車両を世界に送り出すことを誓うため、既存および新規の保存車両を整備し記念のモニュメントとして、ここにメモリアル車両広場を設けました。 | 保存展示車両 国鉄 8620形蒸気機関車 58623 1922(大正11)年製造 愛知電気鉄道(名古屋鉄道) モ800形電車 モ811 1935(昭和10)年製造 試作ボルスタレス台車 ND701形 1980(昭和55)年製造 国鉄(東海旅客鉄道) 0系新幹線電車 22-2029 1986(昭和61)年製造 |
まずは、通りからも良く見える、8620形蒸気機関車
| 国鉄8620形蒸気機関車(日本車両製国鉄向第1号制式蒸気機関車) | |||
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| 大正11年、日車として初めて国有鉄道(当時の鉄道省)に納入した制式蒸気機関車です。 それ以前にも各地私鉄向け、あるいは鉄道省にも建設工事用として各種の蒸気機関車を50両以上納入していましたが、この58623号が本格的旅客・貨物列車用として初めての鉄道省向け蒸気機関車となりました。 8620形は亜幹線での旅客列車・貨物列車両用の蒸気機関車であり、58623号は新製後に名古屋鉄道局に投入、昭和初期には九州の人吉、山陰の正明市(長門市)を経て高知へ移動、以降四国を離れることなく活躍し、小松島機関区を最後として昭和45年3月に引退しました。 日車はこの58623号を国鉄向け初の制式蒸気機関車として、ここに保存・展示しました。 |
58623蒸気機関車主要諸元 | ||
| 製造年 | 1922年(大正11年) | ||
| 形式 | 8620形 | ||
| 番号 | 58623 | ||
| 最大寸法 | 長さ | 16,765mm | |
| 巾 | 2,614mm | ||
| 高さ | 3,785mm | ||
| 運転整備重量 | 83.33トン | ||
| 動輪径 | 1,600mm | ||
| ボイラ圧力 | 13kg/cm2 | ||
| シリンダ径×行程 | 470mm×610mm | ||
| 出力 | 630馬力 | ||
| 最大運転速度 | 85km/h | ||
続いて、名鉄モ800電車と、0系新幹線
| 名古屋鉄道モ800形電車 | |||
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昭和10年、名古屋鉄道の前身、名岐鉄道に10両納入されたデボ800形です。 昭和初期、日車は関東、関西の各私鉄に名車と評される様々な高速電車を納入し、各地の交通網の充実に一役買いました。このモ800形もその一つで、名車の中京版とでも言えるでしょう。 登場当時は、クロスシートを備え、名古屋-岐阜間の特急用として俊足を誇りました。戦後は本線から支線まで名鉄各線にわたって活躍しましたが、平成8年4月、同族の最後となったモ811 号は遂に引退の時を迎えました。昭和の時代を生き延びたこのモ811号を、昭和初期の鉄道車両技術の証人として、昭和30~40年代の壮年期を再現しここに保存展示することにしました。 |
モ811主要諸元 | ||
| 製造年 | 1935年(昭和10年) | ||
| 形式 | モ800形 | ||
| 記号番号 | モ811 (新造時デボ804) | ||
| 最大寸法 | 長さ | 18,354mm | |
| 巾 | 2,740mm | ||
| 屋根高さ | 3,693mm | ||
| 定員 | 120人 | ||
| 自重 | 38.0トン | ||
| 台車 | 日車D18形(新造時 D16形) | ||
| 主電動機 | 直流直巻式 150馬力 × 4台 | ||
| (新造時 125馬力 × 4台) | |||
| 制御方式 | カム軸式複式抵抗制御 | ||
| 国鉄0系新幹線電車 | |||
|---|---|---|---|
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昭和39年、世界一の営業速度を誇る列車として国鉄東海道新幹線に登場した高速電車です。 国鉄として初めて標準ゲージ・ATCを全面的に採用し、高速列車に特化した専用軌道を建設して最高営業運転速度210km/hで運転する新幹線システムは、日本の鉄道史上画期的なもので、世界からも注目されるものとなりました。 全電動車方式の0系電車は昭和39年から61年までの長期にわたり3216両と大量に量産され、日本車両でも730両を製造しました。この22-2029は豊川製作所における最終製作ロットのうちの1両で、昭和61年に製作されたものです。新幹線電車のパイオニアとして栄光を称え、技術の伝承のためここに保存展示します。 |
22-2029 新幹線電車主要諸元 | ||
| 製造年 | 1986年(昭和61年) | ||
| 形式 | 22形 | ||
| 記号 | 2029 | ||
| 最大寸法 | 長さ | 25,150mm | |
| 巾 | 3,380mm | ||
| 高さ | 4,490mm | ||
| (パンタ折りたたみ) | |||
| 定員 | 75人 | ||
| 自重 | 58.9トン | ||
| 台車 | DT200A | ||
| 電気方式 | 交流25000V 60Hz | ||
| 主電動機 | MT200B 185kW | ||
| 制御方式 | 低圧タップ切換式 | ||
最後に、ND701形台車
| ND701形ボルスタレス台車 | |||
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昭和50年代、わが国の台車メーカー各社は、軽量ボルスタレス台車の研究・開発を競いました。日車も各種の研究・開発の末、このND701形軽量ボルスタレス台車を試作しました。 円錐ゴム式軸バネ装置、ボルスタレス式空気バネ、鋼管を利用した簡略な台車枠構造やユニット式基礎ブレーキ装置などがその特徴です。 ND701台車は、名古屋鉄道の特急電車モ7714号に取付けられ、長期間の実用試験によりその性能が確認されました。 この台車の各種の特徴は、国鉄・JR向け205系電車用DT50系に採用され、以降標準ボルスタレス台車として国内・外に広く普及しました。 |
ND701台車主要諸元 | ||
| 製造年 | 1980年(昭和55年) | ||
| 形式 | ND701形 | ||
| 最大寸法 | 長さ | 3,772mm | |
| 巾 | 2,190mm | ||
| (枕バネを除く) | |||
| 高さ | 916mm | ||
| (車体取付け面) | |||
| 軌道 | 1,067mm | ||
| 軸間距離 | 2,200mm | ||
| 軸バネ装置 | 円錐積層ゴム | ||
| 空気バネ装置 | ボルスタレス式空気バネ | ||
| けん引装置 | Zリンク式 | ||



















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